講義

技編

護身

NINJA JAPAN監修部

第2科目 感覚を磨く。

人間の知覚に五感があります。
視覚(見る),聴覚(聞く),触覚(皮膚感覚、触る),嗅覚(嗅ぐ),味覚(味わう)、これらは人間本来が備える本能的知覚です。
これらを常日頃から磨いておくことは、NINJAにとって最も重要なことです。
この五感が鈍いと危機察知能力も発揮できませんし、人智を超えた第六感も働きません。
五感のうち特に「見る」は知覚の八割以上を担うもので、忍者が夜陰に乗じて敵と闘ったのはここに理由があります。

(1)見る。

人間の視覚範囲は水平に180度、垂直150度ぐらいだといわれています。しかし認識の目的意識が働きますから、実際にはもっと狭いと考えられます。
観察力や動体視力が弱いとNINJAとしては致命傷になってしまいます。
視覚を鍛えておく必要があります。

例えば町の中でまっすぐ前を見て歩きながら、左右の景色を180度以上見る訓練をします。
210度ぐらいの範囲をカメラのように瞬時に把握するようにします。目線はやや下向き。
この場合、遠方は視覚可能距離が短くなります。
斜め後方に異常を感じた場合は首を回してしまうと相手側にこちらの心理を悟られてしまうので、身体の角度をほんの少し変え、下を向いて確認します。

見る
(2)危機察知能力。

人間には食欲、性欲、集団欲という動物的三大本能があります。
そのほか、人間だけが持つ本能も多数あります。
これらの本能は現代社会では肯定的に捉えられがちですが、危機は、自然災害を除いて、自他共に絡み合うこれらの思惑の周辺に発生します。

NINJAは自己の本能を理性で制御する能力をもたなければなりません。そのことが危機を察知する能力をも高めることに繋がります。
危機をいち早く察知し避けることができれば、無駄な戦いはしなくてすむし、敵の罠に落ちることもありません。

状況の観察力と人間に対する洞察力を磨きましょう。
「志」を高く持ち、かつ自己が体験したさまざまな行動パターンを情報として整理し、学習効果を積み重ねることによって、危機をより正確に察知することができます。

「何か変だ」、「つじつまが合わない」、「うまく行き過ぎる」など、なんとなく変だと思う直感信号が脳にきたら、一度立ち止まって、冷静に判断することが必要です。

危機察知能力
(3)第六感。

NINJAとして「経験」を積み、「技」に熟練してくると、今までの経験では考えられない「インスピレーション」を感じることがあります。
「技」に関しても、「危機」に対処しても、五感を超えた、人智を超えた何か天の啓示のような閃きが発生するわけです。
優れた武芸者や芸能者、美術家にはよくあることです。
それを「第六感」といいます。
未熟なNINJAでも、心身を打ち込んで、使命に没入している時にはそうした感覚を感じることがあります。